「セキュリティ人材が採用できない」「24時間365日の監視体制を社内だけで維持するのは限界だ」
多くの企業の経営層や情報システム担当者が、日々こうした悩みを抱えています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、クラウドやSaaS、リモート環境など守るべき資産が増え続ける一方で、それを守る「人」は圧倒的に不足しているのが現実です。
警察庁が公表した「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」によると、ランサムウェアの被害件数は依然として高い水準で推移しています。その攻撃対象は、対策が十分でない中小企業やサプライチェーンの弱点へと広がっています。もはや自社リソースだけで高度なサイバー攻撃に対抗することは、経営上の大きなリスクとなりつつあります。
本記事では、セキュリティアウトソーシングの基礎知識から、SOCやMSSといった専門用語の違いを整理します。そしてなぜ今、外部委託が「攻めの経営判断」として注目されているのかを、最新の公的データを交えて解説します。
セキュリティアウトソーシングとは、企業のサイバーセキュリティ対策に関する業務の一部、または全部を外部の専門事業者に委託することを指します。単なる「業務代行」ではなく、高度な専門知識を持つプロフェッショナル集団を活用し、自社のセキュリティ体制を補完・強化するための手段と捉えるべきでしょう。
セキュリティアウトソーシングを理解する上で、頻出する用語が「SOC(Security Operations Center)」と「MSS(Managed Security Service)」です。
企業内のネットワークやデバイス、クラウド環境を24時間365日体制で監視し、サイバー攻撃の兆候を検知・分析する専門組織、またはその機能を指します。
セキュリティベンダーが顧客に代わってセキュリティ機器(ファイアウォールやUTM、EDRなど)の運用・監視を継続的に行うサービスのことです。多くの場合、SOC機能を含む形でサービスが提供されます。
つまり、多くの企業において「セキュリティアウトソーシング」とは、自社でSOCを構築・運用する代わりに、ベンダーが提供するMSSを利用することを意味します。
一方で、アウトソーシングの形は一様ではなく、委託する業務の範囲や自社との役割分担によって、さまざまな選択肢が存在します。
国内の情報セキュリティ市場は、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やビジネスのデジタル依存度の高まりを背景に、拡大傾向が続いています。かつては「コスト」と見なされがちだったセキュリティ対策費も、現在では事業継続性を担保するための「必須の投資」へと企業の意識が変化しており、業界全体として予算規模が増加傾向にあります。
この急激な市場拡大の背景には、主に次の3つの要因があります。
従来のウイルス対策ソフトだけでは検知が難しい攻撃が増え、専門家によるリアルタイムなログ監視・分析の重要性が高まっています。
クラウドサービスの普及やテレワークの常態化により、「社内ネットワークの内側だけ守れば安全」という境界型防御だけでは十分な対策が取れなくなっています。IT環境の変化に応じた、継続的な監視と運用が求められています。
個人情報保護法の改正や、サプライチェーン全体でのセキュリティ確保が重視されるようになり、情報漏えい時の説明責任や企業の信用維持といった観点からも、セキュリティ対策の重要性が高まっています。
経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」においても、セキュリティ対策はコストではなく、事業継続や企業価値を守るための「投資」として捉えるべきであることが強調されています。自社に十分なリソースを確保できない場合、外部の専門サービスを積極的に活用することは、経営者が判断すべき重要な戦略オプションの一つと言えるでしょう。
全てを自社で抱え込み、結果として十分な監視や迅速なインシデント(事故)対応が行えない状態に陥ることこそが、リスクマネジメント上の大きな問題となります。
「必要性は理解しているが、外部に出すのは不安だ」と考える担当者もいるかもしれません。しかし、現在の日本国内の状況を見れば、外部委託は「選択肢の一つ」ではなく「現実的かつ有力な解決策」になりつつあります。その最大の理由が、構造的な「セキュリティ人材不足」です。
経済産業省が公表した「サイバーセキュリティ人材の育成促進に向けた検討会 最終取りまとめ」では、国内企業からセキュリティ人材不足を訴える声が多数上がっている現状が指摘されており、国としてもこの状況を極めて深刻な課題の一つとして捉えています。
また、総務省などの意識調査においても、日本企業の9割が「セキュリティ人材が不足している」と回答しています。これは海外と比較しても高い水準にあります。こうした状況から、日本企業におけるセキュリティ人材不足がいかに深刻な課題となっているかが分かります。
採用市場においても、経験豊富なセキュリティエンジニアの獲得競争は激化しており、一企業が優秀な人材を継続的に確保・定着させることは容易ではありません。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発行した「情報セキュリティ白書」では、直近でもランサムウェアや標的型攻撃が猛威を振るい、その手口が一層巧妙化・洗練化していることが指摘されています。
こうした攻撃は、企業の営業時間外や休日など、手薄になりやすい時間帯を狙って行われる傾向があります。これに対応するためには「24時間365日」の監視体制が不可欠ですが、自社でこれを実現するには、複数名でのシフト制勤務が必要となり、人件費だけでも大きなコスト負担となります。加えて、深夜・休日の対応は担当者の精神的・肉体的負担も大きく、離職リスクにもつながりかねません。
近年、金融機関や地方公共団体から業務を受託していた企業でランサムウェア被害が発生し、多数の個人情報が漏えいする事案が相次いでいます。このように、一社のセキュリティ不備が取引先や顧客を含む広範囲に影響を及ぼすサプライチェーンリスクを悪用した攻撃の危険性が年々高まっています。
DXを推進し、企業間でのデータ連携が進む現代において、セキュリティ対策は自社だけの問題ではありません。取引先や顧客からの信頼を得るためにも、客観的に信頼性の高い監視・運用体制を構築することが求められており、その手段として、外部の専門事業者による高品質なアウトソーシングが選ばれているのです。
一方で、サプライチェーン全体に責任が広がる中、どのセキュリティ業務を自社で担い、どの領域を外部に委ねるべきかを整理することが、これまで以上に重要になっています。
「セキュリティアウトソーシング」と一口に言っても、その範囲は多岐にわたります。自社の課題やリスクがどこにあるのかを明確にし、適切な範囲を選択することが費用対効果を高める鍵となります。
最も一般的かつ需要が高いのが、24時間365日の運用監視業務のアウトソーシングです。 ファイアウォール、IDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)、UTM(統合脅威管理)などから出力されるログをリアルタイムで監視し、異常を検知した際にアラート通知や各種対応支援が行われます。自社で専門家を夜間休日含めて常駐させるコストと比較すると、外部委託は高いコスト効率を実現しやすい領域と言えるでしょう。
システムやWebアプリケーションにセキュリティ上の欠陥(脆弱性)がないかを検査する業務です。 攻撃者の視点から擬似的に攻撃を行う「ペネトレーションテスト」などは高度な専門スキルが必要とされるため、社内リソースだけで実施するのは容易ではありません。そのため、新規システムのリリース時などにスポットで実施するケースに加え、定期的な健康診断のように年次契約で外部の専門家に依頼する形態が、広く採用されています。
万が一、サイバー攻撃の被害に遭った際の初動対応、フォレンジック調査(被害状況や影響範囲の特定、原因究明)、復旧支援を委託する形態です。また、平時のセキュリティポリシー策定や、従業員向けの標的型攻撃メール訓練などのコンサルティング業務も含まれます。これらは「有事の際の備え」としてだけでなく、組織全体のセキュリティ意識と対応力を高めるための取り組みとしても重要な役割を果たします。
セキュリティ業務の外部委託は、あらゆる課題を解決する万能な手段ではありません。導入前にメリットとデメリットを整理したうえで、自社の経営方針やリスク許容度と合致するかを慎重に判断する必要があります。
外部委託の大きなメリットの一つは、コストの最適化とセキュリティ品質の向上です。セキュリティベンダーは、複数の企業を対象に監視・運用を行うことでスケールメリットを活かし、高度な検知システムや脅威インテリジェンス(脅威情報)を活用することが可能ですが、これらを自社単独で導入・維持する場合に比べ、アウトソーシングを利用することで、相対的にコストを抑えつつ、最新の防御体制を比較的短期間で取り入れることが可能になります。
セキュリティ業務は専門性が高く、特定の担当者に業務が集中しやすい「属人化」のリスクがあります。その担当者が異動や退職をすれば、セキュリティレベルが大きく低下するリスクも否定できません。アウトソーシングを活用することで、人材の採用難や流動性による影響を受けにくくなり、安定したセキュリティ品質を維持しやすくなります。
一方で、業務を外部に任せきりにしてしまうと、自社内で何が起きているのか把握できなくなる「ブラックボックス化」のリスクがあります。体制や運用次第では、報告の遅れや内容の理解不足が生じ、結果として経営判断に影響を与える可能性もあります。このリスクを回避するには、定期的な報告会の実施や、緊急時の連絡体制が明確であることに加え、日本語でわかりやすく状況を報告してくれるパートナーを選定することが重要です。
数あるセキュリティベンダーの中から、自社に最適なパートナーを選ぶためには、以下の3つの観点が重要な判断基準となります。
単に「アラートを通知するだけ」のサービスでは、夜間や休日にアラートが発生した場合、担当者が翌営業日に出社するまで対応が遅れ、被害が拡大するリスクがあります。アラートの通知だけでなく、危険度の判定や、必要に応じた感染端末のネットワーク隔離や不審なプロセスの停止など、状況に応じた対応・支援まで提供するかどうかは重要なポイントです。
見積もりが複雑で、運用開始後に追加費用が発生しやすいサービスには注意が必要です。例えば、アラート件数や対応工数に応じて費用が変動する運用モデルでは、想定外のコスト増につながる可能性があります。運用内容と料金体系が明確で、安定した品質のサービスを適正な価格で提供しているベンダーを選ぶことが、長期的なコスト最適化につながります。
毎月のレポートが「ログの羅列」だけにとどまっていないかも確認すべきポイントです。「どのような攻撃があり、どう対処し、今後どのような対策が必要か」という提言が含まれているかも重要です。また、インシデント発生時に即座に連携が取れる体制かどうかも、事業継続に大きな影響を与える要素となります。
DXの進展とサイバー攻撃の高度化が進む現代において、すべてのセキュリティ対策を自社リソースだけで完結させることは、もはや現実的とは言えません。各種調査や公的機関の報告でも示されている通り、セキュリティ人材の不足は構造的な社会課題となっており、一企業の努力だけで解決できる問題ではなくなりつつあります。
セキュリティアウトソーシングは、決して「自社でできないから外部に委託する」という消極的な選択肢ではありません。限られた経営資源をコアビジネスに集中させ、同時に企業としてのリスク耐性と信頼性を高めるための「攻めの経営判断」と言えるでしょう。外部の専門知見を自社の力として取り込むことで、持続可能で強固なセキュリティ体制を構築することが、これからの企業経営においてますます重要になってきます。
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属人化しがちなセキュリティ業務を徹底的に「標準化・仕組化」することで、安定した品質を継続的に提供できる体制を構築してきました。その結果、高い検知精度と迅速な対応を維持しながら、運用効率を高め、コストと品質のバランスに優れたサービス提供を実現しています。
こうした取り組みを背景に、
「コストは抑えたいが、品質は妥協したくない」
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